1/216
A comprehensive set of vocabulary flashcards (in English) covering key terms and concepts from the lecture on political economy, welfare-state theories, Japanese and German welfare development, globalisation, climate justice, gender perspectives, and EU/social policy. Use each term as the card front and the English definition as the back for effective study.
Name | Mastery | Learn | Test | Matching | Spaced |
---|
No study sessions yet.
資本主義の多様性
使用者中心の視点から、各国の資本主義の形態や制度的な違いを説明しようとする理論。
労働中心アプローチ
資本主義の多様性を分析する二つの主要なアプローチの一つで、労働者の役割や組織に焦点を当てる。コーポラティズム理論が代表例。
使用者中心アプローチ
資本主義の多様性を分析するアプローチの一つで、企業の戦略や行動、使用者の役割に焦点を当てる。資本主義の多様性(VoC)理論体系が代表的にこの視点。
産業主義理論
カー・エト・アル(1963)が提唱した理論で、産業化が進むにつれて階級対立が緩和され、政治経済モデルが多元主義社会へ収斂していくと予測する。
多元主義
アメリカで発展したモデルで、多様な利益集団が自由に影響力を競い合う社会を指す。複数のピーク組織が存在し、メンバーシップは任意であり、国家による独占的承認がないのが特徴。
コーポラティズム
ヨーロッパで一般的なシステムで、労働団体と使用者団体が国家によって独占的な代表権を与えられ、政策決定に参加する。歴史的に小規模開放経済国で低いインフレ率と失業率をもたらしたとされる。
集権性
コーポラティズムシステムにおいて、労働組合や使用者団体といった頂上組織にどれだけ権限が集中しているかの度合い。交渉権限の集中度合いを示す。
独占性
コーポラティズム的取り決めにおいて、特定の労働組合や使用者団体がその分野における唯一の代表である度合い。競合組織の存在が少ないほど独占性が高い。
組織率
労働者全体のうち、労働組合に組織されている労働者の割合を示す指標。
コーポラティズム度
カルフォース&ドリフィル(1988)が提唱した、労働組合の組織率と賃金交渉の集権性によってコーポラティズムの程度を測定する指標。
ハンプ仮説
カルフォース&ドリフィル(1988)が提示した仮説で、賃金交渉の集権性と賃金上昇率や失業率の関係が「ハンプ型」(コブ型)になるというもの。集権性が低すぎる場合と高すぎる場合は賃金上昇率と失業率が低いが、中程度の集権性のときにそれらが高くなる傾向を示す。
競争的コーポラティズム
グローバル化以降、オランダ、アイルランド、南欧諸国などで見られるコーポラティズムの変種。競争圧力により、労働者の交渉力が雇用者側にシフトし、より柔軟な労働市場が形成される傾向にある。
自由な市場経済 (LME)
ホール&ソスキスの類型論における、アングロサクソン諸国に典型的な資本主義モデル。企業間の調整が主に市場メカニズムを通じて行われ、雇用保護は脆弱で、株主重視の企業統治が特徴。急進的なイノベーションが生まれやすいとされる。
調整された市場経済 (CME)
ホール&ソスキスの類型論における、西ヨーロッパや日本に典型的な資本主義モデル。企業間の調整が市場以外の協力関係や制度を通じて行われ、長期雇用慣行が強く、ステークホルダー(利害関係者)重視の企業統治が特徴。漸進的なイノベーションに向いているとされる。
制度的補完性
ある制度が別の制度の効率性や収益を高め、それによって国の比較優位を強化する状況を指す。制度間がお互いを補完し合う関係。
経路依存性
一度形成された制度や慣行がその後の発展経路を拘束し、容易に変化しにくい傾向を指す。制度的補完性、既存の受益者からの抵抗、学習コスト、政治的交渉などによって強化される。
黄金の30年
第二次世界大戦後からオイルショックまでの約30年間続いた、先進資本主義国における高成長と安定を経験した時代。
パックス・ブリタニカ
19世紀、イギリスが「世界の工場」として主導権を握り、自由貿易と金本位制が国家の経済介入を制限した国際秩序。
金本位制
通貨の価値を金に固定する国際通貨制度。財政・金融政策に制約を課し、自由放任主義的な経済政策を促進する傾向があった。
自由放任主義
国家が経済活動に最小限の介入しかしらないという政策スタンス。金本位制による制約の副産物としてもたらされることが多かった。
パックス・アメリカーナ
1945年以降、アメリカが主導権を握った国際秩序。ブレトンウッズ体制(金ドル本位制)とケインズ主義的福祉国家がその特徴。
ブレトンウッズ体制
第二次世界大戦後に確立された固定相場制で、各国通貨をドルに固定し、ドルは金と兌換可能とされた。1971年のニクソン・ショックにより崩壊し、変動相場制へと移行した。
IMF=GATT体制
第二次世界大戦後の国際経済秩序で、国際通貨基金(IMF)による融資や為替レートの監督と、関税及び貿易に関する一般協定(GATT)による多角的自由貿易を組み合わせたもの。
埋め込まれた自由主義
ラギー(1983)が提唱した概念で、開放的な国際貿易体制を維持しつつも、国内における政府の経済介入(福祉政策など)を許容する妥協を指す。
生産性の政治
第二次世界大戦後、生産性と経済成長を促進し、その成果を再分配することで社会紛争を緩和しようとする政治的アプローチ。
ケインズ主義的福祉国家
市場が自己調整機能を持たないため、政府がマクロ経済管理(完全雇用など)を通じて福祉目標を達成しようとする福祉国家モデル。
フォーディズム
レギュラシオン・アプローチにおける、大量生産と大量消費のモデル。安価な標準化された製品、高賃金、そして労使協調を特徴とする。
労使和解体制
フォーディズムの下で見られた労使関係の形態で、対立ではなく融和と協調を特徴とする。
民主的階級闘争
労働者が民主主義のルールに従いながら階級闘争を行い、結果としてより穏健なアプローチへと変化していったプロセス。
ニクソン・ショック
1971年にアメリカのニクソン大統領がドルと金の兌換停止を発表した出来事。これによりブレトンウッズ体制は崩壊へと向かった。
変動相場制
1973年以降に確立された国際通貨制度で、通貨の価値が市場の需給によって決定される仕組み。
グローバル化
ブレトンウッズ体制崩壊後、市場主導型へと世界が移行した現象。より広義には、国際化、自由化、文化的拡散、近代化、空間的再編など多様な側面を含む。
資本の自由移動
固定相場制が放棄された後、国境を越えた資本の移動に対する規制が緩和・撤廃されたこと。
政治過程論
政治を規範的・静的な視点からではなく、動態的かつ実証的に分析する研究アプローチ。
政治システム論
イーストンが提唱した政治のモデルで、政治をインプット(要求や支持)がスループット(政策決定)を経てアウトプット(政策)となり、フィードバックを通じて再生産されるシステムとして捉える。
政治経済学 / 新政治経済学
1980年代以降、国家と市場の相互作用、特に福祉国家の政治的側面を分析する学問分野。
私的財
排除可能性と競合性の両方の性質を持つ財。市場メカニズムによって効率的に供給される。(例:アイスクリーム)
公共財
非排除性と非競合性の性質を持つ財(例:きれいな空気)。フリーライダー問題や集合行動問題が発生しやすい。
混合経済
第二次世界大戦後、国家が市場の失敗を是正し、公平性を確保するために経済に介入するシステム。福祉国家の発展を促した。
市場の失敗
市場メカニズムが資源の最適な配分に失敗する状況。公共財の供給などでよく見られる。
政府の失敗
国家の経済介入によって生じる非効率性や問題。1970年代から80年代にかけてその存在が強く指摘されるようになった。
ポスト工業化
経済が製造業中心からサービス業や情報産業中心へと移行する現象。経済成長の鈍化、財政的負担の増大、新たな社会的リスクの出現を伴う。
家族主義レジーム
東アジアや南ヨーロッパで典型的な福祉体制で、福祉サービスの提供において家族(または家族的な企業)が中心的な役割を果たす。
人生後半の福祉
日本の福祉において、高齢者向けの年金や医療保障に重点が置かれ、勤労世代や若年層への給付が限定的である傾向。
雇用レジーム
日本の福祉の柱の一つで、就労していること自体が人々の社会保障を実質的に保証する仕組み。
男性稼ぎ手モデル型生活保障
男性が世帯の主たる稼ぎ手であるという規範に基づいて構築された日本の福祉モデル。後に社会経済構造の変化の中で変容した。
福祉拡充期
1940年代から1960年代にかけての福祉制度が大幅に拡充された時期。労働者の政治的権力資源の動員によって説明される。
福祉縮減期
1970年代から1980年代にかけての福祉制度が見直され、縮小された時期。経路依存性や既存の受益者の抵抗がその要因とされる。
福祉再編期
1990年代から現在に至る福祉制度の再編期。支配的なイデオロギーや言説が政策形成を主導した。
福祉三法体制
戦後日本の福祉制度の基礎をなす三法。児童福祉法(1947年)、身体障害者福祉法(1949年)、生活保護法(1950年)で構成され、生存権の保障を明記した。
生産第一主義
自民党(吉田茂、池田勇人内閣期など)の政策スタンスで、経済成長と産業化を最優先する考え方。
皆保険皆年金
1961年に日本で達成された、全国民を対象とした医療保険と年金制度の普遍的加入体制。
企業福祉
日本において、企業が従業員に対して提供する福利厚生制度。従業員の忠誠心を確保し、安定した長期的な労使関係を構築する目的があった。
仕切られた生活保障
日本の福祉制度が、企業による内部的な共済や融資などに重点を置く形で、セグメント化されていたという概念。
福祉元年
1973年、田中角栄内閣の下で福祉政策が大幅に拡充された年。年金の大幅引き上げや高齢者医療の無料化が実施された。
土建国家
田中角栄内閣の「日本列島改造論」の下で特徴的だった、公共事業への大規模投資を通じて経済成長を目指す日本の国家体制を批判的に指す言葉。利権政治の温床とされた。
日本型福祉社会論
大平正芳首相のシンクタンクが1981年に提唱した、自助と地域社会の連帯を基盤とする福祉社会構想。後の再家族化ルートの思想的基盤となった。
再家族化ルート
1990年代以降に日本で採用された政策経路の一つで、税制上の控除や専業主婦年金などを通じて、福祉サービスの家族による提供を重視する方向性。
見えない利益誘導
中曽根内閣期において、地方債の増発を通じて地方の公共事業を拡大させつつ、中央政府の財政規模を表面上小さく見せることで行われた利益誘導。
新時代の日本的経営
1995年に日経連(現・経団連)が発表した報告書で、長期蓄積型、高度専門能力活用型、雇用柔軟型の3つの雇用モデルを提案したもの。
経済財政諮問会議
日本の経済改革を主導する政府の諮問機関で、保守的な利害関係者によって構成され、労働者代表が排除されていたことが特徴。
聖域なき構造改革
小泉純一郎内閣が掲げたスローガン。「改革によって経済成長を実現する」と訴え、有権者の支持を得るために使用された。
ワークフェアの先取り
日本の雇用レジームが、社会保障のセーフティネットの隙間があるにもかかわらず、実質的に貧困を抑制するワークフェア(労働強制)システムとして機能していたという議論。
社会的投資の「静かな浸透」
ミツル(2018)が指摘した現象で、家族政策やサービスへの支出が徐々に増加していること。生産性向上を目的として、保守派によっても推進される場合がある。
「磁力としての新自由主義」
宮本(2021)が提唱した概念で、財政危機、国民の不信、細分化された福祉制度といった要因を通じて、新自由主義が絶えず影響力を持ち続ける状況を説明する。
新しい社会的リスク
ポスト工業社会において生じる、不安定な雇用や介護ニーズなど、従来の男性稼ぎ手モデルに基づく福祉制度では対応しきれない新たなリスク。
社会的投資
教育、訓練、サービスなどを通じて人々の人的資本に投資するものとして福祉を捉える政策アプローチ。「事後的な修復」から「事前的な準備」へと政策の焦点を移す。
ワークフェア
労働能力のある非就労者に対して、就労を条件とする福祉給付を与えることで、雇用を促進する制度。コスト削減とスティグマ軽減を目指す。
ベーシックインカム (BI)
仕事の有無に関わらず、すべての国民に無条件で定期的な現金を給付することで、福祉と労働を結びつける原則を緩和しようとする提案。その思想的根拠は多様。
完全ベーシックインカム
全ての居住者に対し、労働や資産の有無に関わらず、生活費を完全にカバーする水準で給付されるベーシックインカム。生産主義的な福祉とは対照的な概念。
条件付き / 部分的ベーシックインカム
生活費の全額をカバーせず、supplement (追加給付) が必要であったり、期間制限、参加義務、所得制限などの条件が課されたりする限定的なベーシックインカム。
負の所得税
所得がある一定の基準値を下回った場合に、税金を支払う代わりに政府から補助金を受け取ることができる制度。
ベーシック・サービス
クーテ&パーシー(2020)が提唱した概念で、医療、教育、住宅などの基本的な公共サービスを、全ての国民に無償で普遍的に提供すること。
ジェンダー派の福祉国家論者
主流派の福祉国家類型論を批判し、ジェンダーの視点から福祉国家理論を再構築しようとする研究者たち。
脱商品化 (ジェンダー批判)
もともと男性中心的に捉えられ批判された概念。より広義には、市場への依存なしに生活できる能力、および搾取的な力関係から解放される能力を指す。
ケアの家族化
福祉サービス、特にケアの提供において、プロフェッショナルなサービスではなく、家族が無償でその中心的な担い手となる状況。
ケアの脱家族化
これまで家族が担ってきたケア責任が、国家、市場、または地域社会のサービスへと移行する現象。ケアの外部化とも言える。
明示的家族主義
福祉政策が家族によるケアを強く奨励しているモデル。結果として、ケアの家族化の度合いが高く、脱家族化の度合いが低い状態になる。
選択的家族主義
家族によるケアと外部サービス(国家や市場)によるケアの間で選択肢を許容するモデル。結果として、ケアの家族化も脱家族化も両方が高い状態になりうる。
暗黙的家族主義
家族によるケアを明確に奨励しない政策が、結果としてケアの家族化も脱家族化も進まない状態をもたらすモデル。明確な支援がないため、サービスも限られる。
脱家族主義
家族によるケアが弱く、脱家族化が強いモデル。ケアの責任がほとんど家族の外に移行し、国家や市場が中心的に提供する。
伝統的家族支援
伝統的なジェンダー役割(特に男性稼ぎ手モデル)を強化するような政策。児童手当の低さ、限定的な保育サービス、配偶者控除などがこれに当たる。
二人稼ぎ手・ケア提供者支援
共働き家庭と男女による育児・介護の分担を促進する政策。充実した保育サービスや、父親の育児休業取得を促すクォータ制を含む手厚い有給休暇などが代表例。
普遍的稼ぎ手モデル
全ての成人男女が賃金労働者として働くことが期待される社会規範を指すモデル。
ケア提供者対等モデル
個人間でケア責任を平等に分担することを目指すモデル。男女ともに仕事とケアのバランスを取ることが重視される。
普遍的ケア提供者モデル
フェミニストが提唱する理想的な福祉社会のモデル。ケア責任を社会全体で広く分担することを重視し、特定の個人や家族にケアが集中しない状態を目指す。
「雇用を通じた福祉」
日本やスイスの特徴的な福祉提供のあり方で、社会保障の給付やサービスが主に雇用関係を通じて提供される傾向。
「男性稼ぎ主型生活保障システム」
労働、税制、社会給付、保険といった多岐にわたる制度において、男性が主たる稼ぎ手であるという規範に基づいて構築された日本の包括的な生活保障システム。
ジェンダー化された二重労働市場
日本の労働市場において、男性稼ぎ手である正規雇用の中核労働者と、柔軟な働き方をする周辺労働者(主に女性)という二重構造がジェンダーによって形成されている状態。
福祉多元主義
国家だけでなく、市場、家族、非営利組織、地域社会など多様な主体が福祉サービスを提供する形態。提供主体が多岐にわたり、分散型でサービスが提供される。
福祉ガバナンス
中央政府の財源が減少する中で、福祉サービスの提供における国家と多様なアクターとの関係性が、水平的・垂直的に再構築される新たな統治形態。
社会的排除
単なる所得の貧困にとどまらず、社会的な活動、資源、権利への参加が困難である状態を指す。社会とのつながりの断絶を示す概念。
社会的包摂
仕事、訓練、サービスなどを通じて、社会からの排除に直面している人々を再び社会へと統合しようとする取り組み。しばしば就労支援が中心となる。
サードセクター
非営利組織、協同組合、共済組合など、市民によって設立され、営利よりも地域社会の目標や公益を優先する組織群。
社会的企業
サードセクターに属する組織で、高い自律性とリスクを伴いながら財やサービスを生産し、利益配分には制限がある一方で、社会的な便益やコミュニティへの貢献を重視する。
国家の「上」の福祉
世界銀行、IMF、WHO、OECD、ILOなどの国際機関が、貧困削減や所得格差是正、社会保障の充実といった福祉関連の目標を国際的に推進する動き。
積極的統合
シャープフが提唱した概念で、EU政策が市場統合を積極的に推進しようとする側面。共通のルールや制度を構築する。
消極的統合
シャープフが提唱した概念で、EU統合の過程で、加盟国の社会政策に空白や不十分な点が残される、あるいは市場原理によって社会保護が損なわれる側面。
社会的規制 (EU)
EUレベルで定められる法的基準で、加盟国の政策(差別禁止、労働法など)を規律するもの。
ハードな調整
EUにおける、法的拘束力を持つ政策調整メカニズム。例として、安定・成長協定における収斂基準などがある。